東京高等裁判所 昭和27年(う)483号 判決
所論によつて原判決を見ると、その理由中事実摘示の第四において、被告人は星野喜一郞、若月広と共謀の上、昭和二六年一〇月下旬新潟県古志郡栃尾町地内附近から自宅まで星野喜一郞が窃取した銘仙反物二五反を賍物たることを知りながら、同行の若月広をして携行させ、よつて賍物を運搬したと判示し、第五において、その頃被告人自宅において右星野喜一郞が窃取した銘仙反物二五反をその賍物たることを知りながら押入に保管しよつて賍物の寄蔵をしたものであると判示し、右第四及び第五事実に対し各別に刑法第二五六条第二項に該当するものとし、刑法第四五条前段を適用処断しているが、右判文及び原判決拳示の証拠を考え併せると、右第五の事実は、昭和二六年一〇月一九日頃星野喜一郞が被告人の教唆に基いて衣料品店杉島善作方で窃取して同所附近の山中に隠して置いた銘仙反物二五反を、判示第四の如くその数日後被告人自ら、右星野及び若月広を伴つて、該盜品隠匿場所から、盜賍品たることを知りながら、自宅まで運搬した行為に引続いて、これを自宅押入に蔵置した一連の行為であることが認められる。
このように同一の賍物の運搬行為と寄蔵行為とが連続して行はれた場合には、両所為を包括的に観察して一個の賍物罪を構成するものと解し、犯情に軽重あるときは犯情の重い所為について刑法第二五六条第二項を適用すべく、刑法第四五条前段の併合罪をもつて論ずべきものではない。従つて原審が被告人の前記賍物の運搬と寄蔵とを各独立した犯罪と認定し併合罪として刑法第四五条前段を適用処断したのは、法令の適用を誤り、その誤が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合に該当するのであつて、原判決は破棄を免かれない。